第4回 地域と学生の交流会
聴いて、語って、つながろう
幅広い世代で語り合う「人生のご褒美」
第4回 地域と学生の交流会は、6月8日(土)13時30分から約30名の方を本学キャンパスにお招きして開催しました。近隣町内会や商店街の方々、また川崎市薬剤師会、近隣の薬局や医療機関などの関係機関の方々にも参加していただき、本学学生は地域貢献委員会委員8名が参加しました。昨年も参加し地域の方と再会した学生もおり、和やかな雰囲気で交流会が行われました。




世代を超えたグループワーク
「12歳の頃、今、亡くなる前日のご褒美とは?」
「地域と学生の交流会」の目的は、年齢と立場を超えて意見を出し合ったり討論を行ったりすることです。
第4回目のテーマは、「人生会議をしてみよう!〜12歳の時、今、亡くなる前日 あなたにとってのご褒美は何ですか〜」です。
1テーブルに1〜2人の学生が参加し、合計6~7名で話し合います。まずはお互いを知るために、自己紹介からスタート。1人30秒以内に、自己紹介と12歳の頃のご褒美を考えて発表しました。続いて、12歳の頃のご褒美ベスト3を付箋に書き記して、グループ内で発表しました。メンバー内には10代の学生から80代の方もいるため、人によっても年代によってもご褒美が大きく異なっていることが印象的でした。例えば、交流会に参加した学生は、12歳の頃のご褒美は「ローストビーフ」や「漫画」をあげていました。一方で「白黒テレビ」など、学生と時代の違いを感じるご褒美も含まれていました。また、洋服は兄弟のお下がりばかりだったけれど、特別に自分用に洋服を作ってもらったことや、友達と過ごした時間など、世代を超えても共感できるエピソードもありました




続いては、今の自分にとってのご褒美です。考える時間は5分、そして15分間でグループ内の人々と発表し合いました。今のご褒美は、「自分の時間」がご褒美だという人が多くいたほか、勉強など「学び」をご褒美だという人もいました。また、旅行や一日中好きなことをする、好きな音楽をかけながらワインを飲む、アイスを食べるなどもあげられました。
最後のお題は、亡くなる前日に、もし24時間自由に使えた場合のご褒美です。家族全員の顔を見たい、暑くもなく寒くもない適温で最後を迎えたい、世界旅行をしたいという意見もありました。シンデレラのように抱きしめられてキスをされて亡くなりたいというロマンティックな意見や、老衰や自宅で亡くなりたいという現実的な意見もありました。
昔のご褒美が記憶に鮮明に残っている人が多い中で、現在や未来、特に亡くなる前日のご褒美は、とても難しいお題だった様子です。中には実際に病気になった時に死を意識した経験があるという人もいて、それぞれが真剣にお題へ取り組んでいました。今回の人生のご褒美で印象的だったのは、昔のご褒美は世代による違いを感じる答えが多かった中で、今のご褒美や亡くなる前日のご褒美は、世代関係なく共感できる意見が多かったように感じました。




「まとめ」は、グループごとに
大きなシートを使って作品づくり
5分間の休憩をとった後は、各グループで「まとめ」に入りました。2枚の大きなシートを使い、今回話し合ったことを自由な形式で作品として表現し、全員の前で発表をします。そして最後は、大学の廊下にそのシートが飾られます。絵を書く担当、意見をまとめる担当、発表で話す担当などそれぞれの得意分野を活かして作品を作り上げていました。時間軸でご褒美の推移を表現した作品や、印象的だったご褒美のイラストを大きく描いた作品、また似顔絵が得意な人がメンバーの似顔絵を描いた作品など、グループによって表現方法がさまざまでした。プレゼンテーションでの進行もグループによってさまざまで、2名を代表に選んで発表するグループもあれば、それぞれの意見を一人ずつ話すグループもありました。




この会を通して初めて出会った人が多く、さらに世代も立場も異なる環境の中、約2時間30分の会で「人生のご褒美」というテーマについて深く話し合ったことは、学生にとって地域の人に寄り添う看護師をイメージするきっかけになったのではないかと思います。地域の方々で学生と普段はあまり関わる機会のない人も、とても良い経験となった、楽しかったとお話ししていました。




最後はグループで写真撮影
会の終わりには、グループで制作した作品を持ちながら、メンバーとともに撮影を行いました。皆様、ご参加くださり、ありがとうございました。





地域の方より

Tさん 小倉町内会 会長
小倉町内会の会長を務めていることもあり、「地域交流会」にはほとんど参加しています。毎回、新しい地域の方や学生の方が参加するので、さまざまな意見が聞けてとても面白いです。特に学生は年代が異なるため、食べ物ひとつにしても全く違うものをご褒美だと思うことが、とても興味深かったです。川崎市立看護大学さんとは、大学がまだ短期大学だった頃からお付き合いさせていただいておりますが、地域の行事やお祭り、朝市にも積極的に参加してくれます。ぜひこのような活動を通じて、川崎市を第二の故郷だと思っていただき、卒業後も在住していただいたり、川崎市に関わっていただけたりすることを願っています。

Iさん 川崎市薬剤師会 会長
今回、初めて参加しました。地域の商店街の方々やさまざまな年代の方々の、多種多様な意見を聞くことができました。特に80代以上の方は戦争を経験している方もいたため、苦しい生活の中での「ご褒美」が、戦争を経験していない世代のものとは全く異なっていたことが印象的でした。学生の皆さんも地域に貢献しようという意識が高く、この意識は将来、役に立つだろうと感じました。超高齢化社会である現在、看護師は欠かせない職種です。私たち薬剤師も連携をとっていかなければならない立場にあるため、このような交流会を機会に、職業の壁を作らず連携できる環境が作れればいいなと思います。
地域貢献委員会レポート
地域と触れ合い、知る。
そして学びを、次に活かす。

Mさん(2年)地域貢献委員会委員
1年生の時に委員会に入り、今回で2回目の交流会です。1年間の活動を通して地域の人々と関わることにより、北海道から出て一人暮らしをしている自分にとっても、交流が楽しいと感じ、2年生になっても続けています。1年生の時は緊張していましたが、今回は2回目なので、よりうまくグループでの話し合いができ、また1年生が多く参加してくれたので、みんなが楽しいと思いながら活動できるようリードすることができたと思います。さらに、去年も参加してくださった地域の方に今年も会うことができ、私のことを覚えていてくれたのがとても印象的でした。このように地域の方と繋がれるのは嬉しいです。今回参加してくださった方から、自分が全く知らない分野について教えていただいたり、人生の先輩として助言をいただいたりしました。この交流会のように、看護師になった際には人と関わることがとても重要だと思うので、この交流会で学んだことを活かして、人に寄り添える看護師になりたいと思います。

Sさん(1年)地域貢献委員会 副委員長
今年の新入生オリエンテーションに参加した際、地域貢献委員会の先輩たちがとても楽しそうだったので、委員会に入りました。今回、委員会に入って初めてのイベントでしたが、普段関わらない年代と「ご褒美」というテーマを通して生死について話せたことがとても興味深かったです。学生だとご褒美にゲームや食べ物をあげる人が多かったですが、年代が高くなるにつれて、食べ物でも世代の違いを感じる答えがありました。グループ内での話し合いの進行は初めてだったのでとても緊張しましたが、先輩が同じグループだったため、スムーズに終えることができました。また、座る場所一つにしても、参加者に合わせて配慮するなど、工夫できることもあったため、今回の経験を次回の交流会やイベントに活かせたらと思います。学生の場合、年代が異なる方と実際に関わるのは難しいので、この交流会を良い機会として、実践に強い看護師になりたいと思います。