仲間を知り、つながりを深め、
演技力もアップ!

「第1回模擬患者
交流会」を開催
2024.02.27

皆さんは、模擬患者をご存じでしょうか?学生が患者さんとのコミュニケーションを学ぶために、「患者役」を演じるのが模擬患者と呼ばれる方たちです。事前に決められたシナリオに沿って、実際の患者さんのように症状を訴えたり、質問に答えたりするなど、授業の中で学生と実技演習を行います。患者さんと良好なコミュニケーションを図り、「聴ける・説明できる」看護職の育成に欠かせない役割を担っているのが模擬患者です。

本学では地域住民の方を対象に模擬患者の養成講座を実施し、これまでに45名の方が修了、授業にご協力いただいてきました。しかし、模擬患者同士が交流する機会は少ないことから交流会を企画しました。2月27日(火)の第1回模擬患者交流会は模擬患者の方同士のつながりを深めるとともに、「演じる」ことのスキルアップをしてほしいとの思いから、劇団・かわさきシアターカンパニー代表のひとみ まさこさん(以下:ひとみ先生)を講師にお招きして開催しました。

劇団・かわさきシアターカンパニー代表 ひとみ まさこさん

講師を招き2部制で開催。
演じる楽しさを認識!

第1部は、ひとみ先生によるワークショップです。テーマは「言葉以外でも状態・気持ちは伝えられる」。言葉を使わずに、「"寒い"や"調子がすぐれない"といった状態を表現するには?」でした。

「言葉を使わずに表現するには、さまざまな顔の表情や態度で表現することです!」という先生の言葉にうながされ、まずは「元気がない」表現に挑戦。グループごとに二人一組のペアになって、元気がない様子を演じ合いました。ため息をついて俯いたり、イスにもたれてだるそうにしたり。「座り方の工夫というのはとてもいいですね」と先生からは声がかかる場面もありました。

次は、「頭が痛い」「肩がこっている」など体の不調を書いたカードの中から、ペアの相手にわからないよう一枚を選び、カードに書かれた体の不調を言葉は使わずに表現し、「どこが悪いのか」当てるゲームです。「痛い患部をおさえれば簡単ですが、そうではない表現を考えるようにしてみました」とは参加者のお一人。皆さんそれぞれ工夫を凝らし、演技に磨きがかかってきたように見受けられました。

コミュニケーションは
AIには代われないもの

最後はペアで看護師役と患者役になり、小さなお芝居を行いました。看護師役は「お薬を1日3回飲んでください」というセリフを言い、それに対し患者役がさまざまな感情で答えます。声のトーンを落として「はい...」(本当は飲みたくない)、びっくりした声で「3回も!?」、探るような声で「2回じゃダメですか?」など、それぞれが年齢、性格、病歴などのイメージを膨らませてお芝居を作り、それぞれのペアが参加者全員の前でさまざまなお芝居を披露。熱のこもった名演技に拍手喝采でした。

講師のひとみ先生は「人と人のコミュニケーションは教科書では学べないもの、ましてAIには代われないものです。学生の皆さんが、模擬患者さんとのやりとりで学ぶことは大きいと思います。今日体験したさまざまな表現を活かしてさまざまな患者を演じ、模擬患者として活躍してください」と結ばれました。

ディスカッションを通じて
仲間としてのつながりを深める

第2部は「模擬患者に必要なこと」と題し、「学生の学びに触れる」「仲間を知り、つながりを深める」「模擬患者としての意気込み」の3つの構成で進行しました。

学生の学びに触れる

模擬患者参加型授業から、学生はどんなことを学んでいるのでしょうか。授業後の学生の感想をまとめたものが模擬患者の皆さんに披露されました。

  • 本当の患者さんのように体調が悪そうなのが伝わってきて、どう対応するのが適切か考える機会になった。
  • 実施の患者さんのようで緊張感があり、とても良い経験になった。

模擬患者の方たちが入念に準備してくださっていることへの感謝や、「恩返しとして立派な看護師になりたいと強く思った」との感想も多く、模擬患者の存在が大きな刺激になっていることがうかがえました。
一方で、「模擬患者さんからの意見をもう少し詳しく聞きたかった」「声が小さくて声を聞き取ることが難しかった」という意見もあり、今後の課題として皆さんメモを取られていました。

仲間を知り、つながりを深める

なぜ模擬患者になったのか。模擬患者を知ったきっかけ、講座に申し込んだ動機、模擬患者を経験した感想などをグループ内でそれぞれ話していただきました。

  • 模擬患者について、さっぱりわからなかったけれど、今は学生の素直さに惚れ込んでいる。
  • 地域で配られたチラシを見て模擬患者を知り応募した。
  • 病気の人の気持ちを少しでも知りたい、そのきっかけになれば。
  • 少しでも社会に貢献したい、学生の学びの役に立ちたいと思って。

なかには、身内の方を看取り「医師や看護師にお世話になったので模擬患者の活動に興味を持った」という方も。それぞれの背景を語り合うことで、仲間としての意識が一歩進んだのではないでしょうか。

模擬患者としての意気込み

最後はこれからの意気込みや模擬患者を続ける思いなどについてディスカッションしていただきました。

  • 川崎を良いまちだと感じていただきたい、そしてこの地域で看護師として働いてほしい。
  • 前向きな人が多く仲間から刺激を受けている。
  • 演技上手にはなれないけれど、違う自分を演じることで元気になれる。

「学生の役に立ちたい」「社会の役に立ちたい」といった言葉が多く聞かれるとともに、地域と本学、そして本学の学生とのつながりを大切に感じてくださっている意見も多く、有意義な意見交換の場となりました。

10分間の休憩をはさみ、2時間30分の交流会でしたが、終始和やかな雰囲気のうちに閉会となりました。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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